第5話 ずるい二人

人の恋なら、見ているだけで分かるのに。
自分たちのことになると、どうしてこんなに分からないんだろう。

イタリア帰りの香澄たちを見送った夜、澄香は航平の車で有明浜へ。
小さなLEDランタンと波音、静かに流れる音楽の中で、二人は初めて「自分たちは何なのか」に少しだけ触れる。

好きとは言わない。
付き合おうとも言わない。
それなのに――いなくなったら困る。

東京と香川。離れて暮らす二人が見つけた、まだ名前のない関係の夜。