第4話 ひやあつ、十五度。
東京から香川へ戻った翌日。澄香は航平に誘われ、地元でも知る人の少ない「志保山の風穴」へ向かいます。 真夏の登山道を抜けた先に待っていたのは、苔むした石垣と、十五度の冷たい風。見えない風を確かめるために持ってきた風鈴が、静 … 続きを読む
東京から香川へ戻った翌日。澄香は航平に誘われ、地元でも知る人の少ない「志保山の風穴」へ向かいます。 真夏の登山道を抜けた先に待っていたのは、苔むした石垣と、十五度の冷たい風。見えない風を確かめるために持ってきた風鈴が、静 … 続きを読む
七月下旬の東京。お台場の展示場で賃貸管理の広さに圧倒された航平は、仕事帰りの澄香と自由が丘で待ち合わせる。 まだ覚え始めたばかりの実務。目の前に並ぶ管理システム、家賃保証、見守り、修繕、入居者対応。「自分はまだ何も分かっ … 続きを読む
紫陽花の通知でつながり直した澄香と航平。今度は、ホームページの相談をきっかけに、ふたりの夜がまた少し近づいていきます。仕事のふりをした会話の向こうに、まだ名前のない気持ちが静かに灯り始めます。
梅雨の東京。何もしない休日の午後に、汐見澄香はふと、地元のあじさい祭りの記憶へ手を伸ばす。濡れた石段、青むらさきの花、そして隣にいた幼なじみの横顔。あの日、神様の前で言えなかった願いが、雨音の向こうから届く――。瀬戸内の … 続きを読む